スタッフブログ

2020.08.14

終戦記念日

明日は終戦記念日ですね。

8月は日航機墜落事故から、終戦記念日があったりと、命の重みを思い出させる出来事が多い月だなと思っております。また、昨年もそうでしたが、暑さによる負担からか、8月は亡くなる子が多い月でもありました。

 

毎年この季節になると戦争関連の番組や記事が多く取り上げられるようになり、改めて命の大切さ・尊さに胸が苦しくなるのですが、同時に、あれほどの惨事に後悔した歴史のある世界から、未だに戦争が消えないのは一体何故なんだろう・・。と理想と現実のギャップ、自分1人の認識だけでは変えられないこともあるという現実に、とてつもない無力感と絶望感が押し寄せてくることもあります。

 

中学の時の文集で、とある先生が書かれた記事がとても印象に残っていて、今でもよく思い出すことがあります。

それは、“幸せ”について書かれた文章です。

うる覚えで、ところどころ正確ではないかもしれませんが(私の個人的な編集が入っているかもしれませんが)、一部ご紹介したいと思います。

 

ある日、『先生?幸せってなに? 幸せってどういう事をいうの?』と生徒に聞かれ、その時は『幸せっていうのは人によって感じ方が違うから、一言で言い表すことはできないよ』と答えたのですが、先生は後から考えてみて、『本当にそうだろうか?』と思うようになります。

 

例えば、うんと丁寧に淹れた紅茶をお気に入りのカップで飲む時、温かいお湯に浸かって今日1日の疲れをとる時、暖かい日向で微睡む時、ふかふかのお布団でゆっくり寝ている時、大好きな人と一緒にいる時。。。そんな時、『あーしあわせ!私って、しあわせ者だなぁ。』と感じる。

結局のところ、価値観は違っても、”しあわせ〟に感じることは人によってそんなに違うものではないんじゃないか。

というものです。

 

確かに、辛いと感じることには人によってかなり差があって、“お金がなくて辛い”と感じる人もいれば、そうでない人もいて。“伴侶がいなくて寂しい”と感じる人もいれば、一人を謳歌できる人もいて。

部屋が汚くて耐え難い人もいれば、全然気にしないという人もいて。

 

人の不幸は千差万別、でも反対に、「幸せ」だと感じることは内容に差はあれ、核となる部分はみんな大きく違わないはずというのです。

 

日本人は、『自分がされて嫌なことは人にもしないようにしましょう』という教育で育ってくることが多いと思いますが、それならば同時に、『自分がされて嬉しいことをどんどん人にもしてあげましょう』でもいいはずです。

例えば、部屋が綺麗でいて良かったと思う人はいても、綺麗で不愉快と思う人はそういないはずです。なので、『幸せ』に照準を合わせた方がより人の心に響くのではないかと思います。

 

なので、病院を開業してからは特に、飼い主さんにとって・動物たちにとって、どうなことをしてあげると幸せに繋がるかを想像して取り組むようにしています。

お盆期間中に病院を開けるようにしているのも、LINEで24時間メッセージが送れるようにしていることも、時間外でも電話が転送されるようにしていることも、少しでも飼い主さんの『不安感』を取り除けたらいいなと思っているからです。

スタッフや我々がすでに病院から離れていたり、都合により対応できない場合があっても、自分たちが知っている病院を紹介できたり、応急処置などをアドバイスできたら少しでも安心感に繋がるかなと思っているからです。

 

このお盆期間中の3日間、獣医さん体験として、私たちの仕事に触れてもらう企画を行っていますが、我々の子供達も含め、将来今の子供達がどんな職業に就いたとしても、『どんな仕事も誰かの幸せに繋がっている』という幸せを感じて仕事をしてもらえたらなと願っています。

 

孔子の言葉に「汝の愛するものを仕事に選べ、そうすれば生涯一日たりとも働かなくて済むであろう」というものがありますが、自分の周りの人の幸せを願い愛せる人になれたら、きっと好きな仕事にたくさん出会えるはずだと思います。

そして周りの幸せが自分の幸せと感じることができたら、誰かを傷つけようとする戦争さえ無くなっていくはずだと信じるしかありません。

 

ネット上では顔が見えないからといって、平気で人を傷つける言葉が飛び交っています。でも人間に認識されないだけで、光となって何億光年後もその行為は宇宙に刻まれていきます。

私も短気なもので、色々なことにすぐ怒ってしまう性格なのですが(^_^;)、憎しみからは何も生まれないどころか、さらに憎しみが生まれてくるので、最後にはとてつもない疲労感に襲われて終わります。

嫌なことは一定数出会ってしまうものですが、そんな時に切り替え下手な私を変えてくれるのはいつも患者さんの温かいお言葉だったり、出会った人の優しい触れ合いです。

よくできた物語だと思うのが、『北風と太陽』。 誹謗中傷より、温かい言葉がどれほど人の心を動かすか。

戦争を経験していない私ですが、今一度この終戦の月に多くの人に『命を思いやる優しい気持ち』を心に刻んで欲しいなと願っています。