スタッフブログ

2020.12.09

お口の中は。。

もっと早くに、11月に行なったスケーリングのお話などを書きたかったのですが、あっという間に12月9日となっており驚愕しております。

12月は師走と言われますが、お坊さんだけでなく、仕事納め・新年を迎えるにあたってのため色々な人が多忙な日々を過ごされることと思います。当院は12月31日まで通常通り診療しておりますが、31日の大晦日は木曜日のため、午前までの診療となります。

 

年末年始は薬・ごはんを取り扱う業者さんが長期お休みに入られてしまうため、飼い主様のみなさまには、おうちにあるお薬・ごはん・サプリメント等の在庫のご確認をお願いしておりました! 年末年始に足りなくなりそうな場合は中旬頃までにご連絡をお願いいたします(^^)

 

さて、アップしたかった歯のお話。

(最後あたりに、重度に歯石の付着したワンちゃんの歯の画像がアップされていますので、苦手な方はご注意ください。)

11月にはスケーリングキャンペーンを行い、業者さんにもご協力いただき、多くの方に歯の健康の大切さをご理解していただけたと思っております。(動画は11月中頃のLINEご登録者様限定情報内にアップしています)

 

ワンちゃんの歯の健康は、その子の口腔内だけでなく、全身へ・そして同居家族様の身体にも影響を及ぼすものです。

歯垢は2〜3日すると歯石になってしまうため、日々のメンテナンスが大変重要なのですが、毎日のお仕事・子育て・家事・介護などで慌ただしく過ごされている飼い主さんは、歯磨きまで手が回らない・・・ということも想像に難くありません。

歯磨きをすることが難しい場合は、飲み水に入れるだけのケア用品もありますので、飼い主様のライフスタイルなどを踏まえお気軽にご相談いただければと思います。

 

ここで、スケーリングを行ったワンちゃんの1例をご紹介したいと思います。(こちらのお写真は看護師スタッフが撮影してくれました)

まずは右側ビフォー。

そして右側アフターです。

 

さらに左側ビフォーも。

左側アフター。

 

両側、歯石が綺麗に取り除かれ、白くてピカピカな歯に生まれ変わりました。

 

しかし、この写真で見える部分の歯石が無くなったことよりも、歯周ポケットにまで入り込んだ、写真には写らない歯石・歯垢などの汚れも取り除かれたことがスケーリング処置を行う重要なポイントなのです。(LINEご登録者様限定情報の良い歯の日の動画を見てくださった方はよくご存知かと思いますが、真に悪さをするものは、歯周ポケットの酸素の届かないところで繁殖する嫌気性菌だからです!)

 

飼い主様がスケーリングを躊躇してしまう理由として大きなものとしては、やはり麻酔のリスクかと思います。実際に、無麻酔でスケーリングや歯石除去ができないかというご相談もあります。

しかし、この歯周ポケットに入り込んだ汚れまで綺麗に取り除かなければ意味がないことを考えると、麻酔をかけることは必須になってしまうかと思います。

さらに、人間でさえあの歯医者さんのウィイーーーーイン!!という音が恐怖に感じる人が多いのに、何もわからず病院に連れてこられたワンちゃん・猫ちゃんが果たして耐えられるか?と想像すると、きっと精神的にかなりの負担とトラウマを与えてしまうと考えます。

 

私自身、自律神経がおかしくなり一時期唾液がほとんど出なくなったせいで?虫歯が多発し、お隣のアイビー歯科クリニックさんに一時期お世話になっていたのですが、アイビーの院長先生が丁寧に診てくれ、痛みのないように処置してくれていても、処置中は心の中では恐怖で慄いていました(笑)

 

頭でしっかり理解し、自分の意思で治療に向かっている大の大人でさえこの恐怖です(笑)!!!

 

ワンちゃん・猫ちゃんのことを考えたら、意識のない状態で、すっかり一度で綺麗にしてあげたほうが負担が少ないのではないかと思います。確かに麻酔のリスクというのは、血液検査状で計り知れない部分もあるため、不安に思う気持ちもわかります。動物たちが高齢になる程、免疫力や唾液量が少なくなることで歯周病は増えていきますが、同時に麻酔のリスクも一定数上がることとなります。このため、早いうちに、全身状態が麻酔に耐えられるうちに処置してあげることがポイントとなります。

 

虫歯ならぬ、知らぬ間に歯周病菌は体を蝕(むしば)んでいっているため、体が悲鳴をあげないからといって大丈夫ということにはならないからです。

 

こちらは重度の歯周病のワンちゃんの歯石のついた犬歯と臼歯になります。(↓)

こちらのワンちゃんは、何もしなくても口腔内で膿が流れ出てしまうほど歯周病が進行し、全身麻酔もリスクがとても高いくらいだったこと、歯肉も基盤が溶けるほどだったため、そのまま鉗子で抜き取った一例です。

重度の歯周病を罹患しているワンちゃんの口腔内には、かなりの細菌と原虫が存在しているため、飼い主とのスキンシップでも注意が必要となります。

少しわかりづらいかもしれませんが、今回顕微鏡で撮影したものをお見せしたく、院長にプレパラートを作ってもらいました。

中央からやや下に、もこもこと動いているものがトリコモナスという原虫、画面右側に細長くウネウネしているものがスピロヘータという螺旋状の形をした菌になります。(もしどれがどれかわからないというときは御来院の際、院長に聞いてみてくださいね!)

ワンちゃん自身の健康はもちろん、人の健康を守るためにも、歯の健康維持は大切なんだよ!とわかっていただけたら嬉しいです。