スタッフブログ

2021.03.08

わたしが獣医を目指したわけ

出会いと別れの季節

卒業式や送別会でも用いられるスイートピーの花の花言葉は“門出”ですが、黄色のヒヤシンス『あなたとなら幸せ』という花言葉も、たとえ触れることができる距離にいなくても、心は通じているという出会いと別れの想いを感じる花言葉だなぁと、ここ数年とてもお気に入りのお花の1つになっています。

動物病院は、距離的な別れだけでなく、“死”というお別れも数多く経験する所で、

その出会いと別れの時間は1日にも満たない、本当に短い間だった。という経験も少なくありません。

 

亡くなった子を前にして、この子がご家族とどんな出会いをしてどう生きてきたのだろうかと想いをめぐらせると、動物たちの表情からは『闘病していて苦しかった、辛かった。』という思いよりは『あなたといられて幸せだった』という体から溢れる幸福感の方が勝って感じられ、

あぁ、こんなにも素晴らしい出会い・絆をもった飼い主さん・動物たちと出会えて、私たちもまた幸せだったな。。と

(命が消えた瞬間には不謹慎かもしれませんが)亡くなる瞬間に立ち会えたことですら、私たちは『喜び』『感謝』の気持ちでいっぱいになります。

 

私が獣医を目指した動機を、いつかどこかで書こうかなと思っていたものの(LINEご登録者様限定情報で、他のスタッフはご紹介したのですが)、なかなか話題にする機会がなかったのですが

私が小学生の頃はまだ今ほど動物の命や権利が守られておらず、野良犬もチラホラ道を歩いていた時代でした。

車に轢かれてそのまま横たわっている野良犬も多くいました。 

迷子の犬が友達を見つけたかのように私の後をついてくることもよくありました。

仮にもし人間だったら、車に轢かれていたら大騒ぎですし、迷子で帰れなくなっている犬も周りの人が放っておかないと思います。

それがどうして犬猫なら軽視されてしまうのか。子供心にそれが理解できず、動物の命を守りたいなら獣医かな。と単純に考えたのがきっかけです。

 

それが犬猫を飼う人と触れ合うほどに、その犬猫たちが飼い主さんの心と生活を豊かにしているかを感じる機会が増し、“動物たちの命を支えることで飼い主さんの心を支えられる”、“人と動物のどちらの幸せにも加担できる”、とても良い職業だということに気がつきました。

 

なので、動物が好きだから。や、当初思っていた「(単に)動物の命を救う仕事がしたかったから。」という動機よりも、

『動物も人間も、みんな幸せにする仕事がしたい。』という方がピッタリ当てはまる動機だと思います。

 

どちらか一方の幸せではやはり寂しいことだと思うのです。

 

中には人間を傷つけてでも動物の命を優先させようとする人がいますが、それは賛同できるものではない。というのが私の考えです。

 

獣医師国家試験の合格発表も迫っていますが、どうか新しく獣医師として羽ばたく人たちには、動物だけ・病気だけを診る獣医師ではなく、人の心も大切にできる獣医師になってほしいな。と、偉そうにも希望を言いたいのです。