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2022.07.13

花との思い出  〜③引っ越し王〜

ここでも何度もお話していますが、震災の当日は我々の卒業式当日でした。

地震があったのは、ちょうど謝恩会の始まりの挨拶が始まってすぐ。

十和田のまだ雪が残る寒空の下、揺れが落ち着いた頃を見計っってみんな一斉に会場の外に避難。そこで携帯などの地震情報をチェックしましたが、電波繋がりにくさの中、かろうじて見かけた情報が、“津波10M予想”・・・

震源地がどこなのかも正確に把握できないまま、謝恩会は中止との噂が広がり、私たちは徒歩で自宅まで帰ることに。

ペラっペラな薄いドレスと、ヒールを履いた状態で3月の十和田の雪道の中。 寒さもそうでしたが、帰宅中気がかりだったのは安否確認ができない仙台に預けたままの花と至花のことでした。

 

何十分歩いたかは分かりませんが、謝恩会会場からアパートまで戻り電気の付かない暗い夜を過ごしました。

 

それから翌翌日ーー

幸いにも、青森市にある私の実家は、大きな病院の近くにあったため電気などの復旧も早かったため、我々は十和田から青森の実家に移動することに。

 

そこで初めてTVのニュースを目にし、愕然としたのを覚えています。

日下の実家は場所的に津波の不安のない地域と言っていましたが、不安はどんどん増していきます。

 

 

そこから数日後、食糧とガスボンベを積んで、花と至花を引き取りに仙台へ向かったのでした。

後ほど聞いた情報では、あの地震の中、日下の実家の家の窓が空き、一度は外に逃げ出していたそうです。(2匹ともかは不明)←後日談で聞いたから良かったものの、逃げた直後に報告されていたら気が気じゃありませんでしたね・・・。

しかし、さすが野良を経験していた花は、『家の中で飼われている方が得策』だと感じていたらしく、再び自宅に戻ってきていたようです。

最小のエネルギーで最大に生きる。

八戸の野良を5年も生き抜いた猫だけあるなと感じた、花にまつわる印象深いエピソードです。

(↓この写真は、青森の私の部屋に来て安全確認している猫たちの写真。「異常はね〜か〜?」と言っています。)

 

猫たちを青森まで輸送し、次に考えたのは我々の就職先。

実は就職活動は、獣医師免許を取得できたことを確認してからにしようと思っていたため、この時期に就職先を探した私たち。

 

今思えば、そんな時期に就職活動する人なんてそんなにいないでしょうね。(見学には早くから多数訪れていたのですが)

この震災直後の混乱している中、日下が希望をした就職先は千葉県の動物病院。私も一緒に住むところから通える動物病院を紹介してもらい、3月下旬に就職先が決定しました。

ということは・・・

猫たちの次の新天地は千葉県!!

 

八戸→十和田→仙台→青森→千葉。いきなり野良からこんなに移動させられて、花はどう思ったでしょうね。

そして高速バスも初体験。

 

土地勘のない場所の物件を探すというのはだいぶ難しいことでして、不動産屋さんに案内してもらうにしても、車で乗せていってもらうため、実際の通勤手段と異なり、大変さの感覚が正しく掴めないもの。

千葉ではじめに住んだ物件は、坂を登り、実は徒歩でお墓を通過し辿り着くという物件でした。(でもすぐ後ろが中学校だったので、比較的安全かなって思ったんですよ・・・)

そして住んでみてはじめて気づいたのが、エアコンが無いこと。住み始めの4月はとても寒く、夏はただ座っているだけで膝の後ろから汗がのように落ちてくる灼熱の環境でした。(朝7時の段階から37度超え予報のすごい場所でした。)私に限っては、相模原に住んでいた時もエアコンの力を借りずに生き抜いてきたため、我慢しようと思えば乗り越えられたのですが、暑がり男子は耐えかねて、夏の途中から簡易的なクーラーを取り付けました。

 

そんな中、猫たちはどうにか環境に順応し、それなりに楽しく過ごしていたようです。

今思えば八戸の寒い環境にも耐えられ、さらに灼熱の千葉の密閉された部屋でも生き延びた花たちは、相当な強者ではないかと感じます。

しかし、この物件、排水溝から虫は湧くし、悪臭もするし、実はGもいるらしいし、、

途中から虫要因に耐えかねたのと、日下の勤務状況から、もっと職場に近い場所に引っ越そうと、半年経つ前にこの物件を去ることとなったのでした。(これも寒い時期に内覧しただけではわからない所でした・・・)

実は我々がいない間、虫を追いかけたりして楽しく過ごしていたのかもしれません・・・恐ろしい。

 

次の物件は5階建ての5階の賃貸マンション。 

Gも出ないであろうことが決め手となり、即決断しました。

猫たちはこちらにも即順応し、楽しく過ごしていました。

「今回のお部屋は眺めがいいなぁ〜〜。」

 

郷に行っては郷にしたがえ。

住めば都。

猫たちにとってみたら、なんで自分たちはこんなに気候も間取りも違う場所に移動させられているのか理解できなかったかと思いますが、考えてもしょうがないことは考えない。

ここでもまた、最小のエネルギーで最大に生きる、猫たちの強さが現れるのでした。

 

ここの物件はそれなりに快適で、人間(我々)も楽しく、毎日同じような生活で平凡に過ごしていたのですが、程なくしてある出来事が起こります。