スタッフブログ

2025.06.16

そばにいるよ・・・(恐)

インスタやブログ、LINE配信でも度々お伝えはしていましたが、今年もマダニの脅威が常に隣り合わせであります!

当院でも春先から今まで、未予防の方が続々マダニをつけてご来院されておりましたが、全国的にマダニ感染は数多く報告されており、マダニに感染した動物の死亡例も相次いで報告されています。

直近では、5月の上旬にマダニ感染の猫を診察した獣医師死亡するなど、その脅威はより身近なものとして迫っています。

『お外に出さないから』『コンクリートの上をお散歩するだけだから』といっても、人の衣服に付着し持ち込まれたマダニが室内で増殖し、マダニだらけになって発見されたわんちゃんの事例が実際に当院や知人の動物病院で複数報告がありましたし、マダニは静電気を利用して草から飛び乗ってくるため、コンクリートの上を歩いていてもその近くの道に自生する植物から飛んできたマダニに感染する可能性が大いにあり得ます。

マダニによるSFTS感染症致死率が30%と、劇症型連鎖球菌症やエボラ出血熱に匹敵するほど高く(エボラはウイルスの型によりますが致死率25〜90%)、感染した動物の体液(グルーミングにより体に付着した唾液や、くしゃみ、涙などからも)を介して感染するため、それほど密に接していなくても感染してしまう危険性は高くなります。

この宮城県においてもマダニからSFTSウイルスは検出されています(感染の報告はありませんが)。動物病院関係者然り、動物の保護活動をしている方は外にいる野良猫ちゃんと接する機会が多いため、手袋や防護眼鏡等の着用をお勧めします。大げさに聞こえるかもしれませんが、それくらい脅威はあるということです。

 

マダニ予防は毎月一回の予防薬の投与でできます。(3ヶ月に1度投薬のお薬もあります

最近はフィラリア予防薬と一緒になったオールインワン薬を飲まれる方がほとんどです。(↓ネクスガードスペクトラ・シンパリカトリオ・クレデリオプラスがオールインワンの飲むタイプの予防薬です。)

このオールインワン薬はフィラリア予防については〝フィラリアの子虫を駆虫〟することによって予防するものなので、投薬することにより、今まで1ヶ月の間に感染したフィラリアへ効果があります。

逆にマダニについては、投薬してから1ヶ月間マダニを殺す効果が持続するので、投与1ヶ月後までマダニの感染を予防できます。ちなみにこれらの予防薬はマダニを寄せ付けない。というわけではなく、マダニが体に乗って血を吸ったタイミングですぐマダニを殺してくれるというお薬です。(蚊やマダニに忌避効果があるとされる塗布タイプのお薬もありますが使用にあたり注意が必要なものがあります

(※よくあるフィラリア予防についての間違いが、寒くなってきて蚊もいないだろうから最後の1、2ヶ月飲ませなかった。という事例です。フィラリア予防薬は、蚊がいなくなった後1ヶ月後にも飲ませないと、今まで感染したものを駆虫することができないので、最後が(も)とても肝心になります。マダニ予防の感覚と少し違うので注意が必要です。)

 

ちなみに、今年ご来院された患者様にはお伝え済みですが、宮城県のフィラリア推奨予防期間が新たに更新され、4月〜12月までの投薬が必要と発表されました。 これも温暖化の影響なのか、一昔前は6月からスタートで良いと言っていた予防期間が早まっています。実際、我々自宅の庭でも春先早々蚊が飛んでいました。

マダニに関しては、特に大型犬やドッグラン等積極的にお外に出られる方は通年で予防されることを推奨します。特にマダニによる感染症は人間も感染の危険性があるため、人間の健康維持の観点からもとても重要です。

ノミマダニ・フィラリアの予防薬は皮膚に塗布するタイプのものもありますが、付けるタイプのお薬は、付けた場所から徐々に全身に広がって作用するため、ノミマダニが感染した場所が塗布した箇所からどれくらい離れているかにより効果に差が生じることがあります。

また、皮膚に直接滴下するタイプのお薬も、種類によってはご家族に妊娠している方がいる場合注意が必要なお薬もあるため、これらの寄生虫予防薬は、犬種・ライフスタイル・体調・飼い主様ご家族の状況などを踏まえ、しっかりかかりつけの動物病院さんとご相談して処方してもらってください。

※もし、お手元に余ってしまっているお薬があっても他人に譲渡しないでください。薬機法(旧薬事法)に抵触し、罰せられる可能性があります。

インターネットサイトなどから獣医師の処方なしで購入できるものの中には、投薬後の効果や健康を保証できないものが紛れ込んでいる場合があるため注意してください。(近年農林水産省や厚生労働省などからも注意喚起の文章が届いておりますが、個人での輸入品や外国語表記などで中身が不確かなものは、成分も不確かなため、使用後体調不良を来した場合の治療が困難となる場合があります。箱や説明書に記載されている成分が正しいものである保証もありません。)

 

これからのシーズン、たくさんお散歩やお出かけに行かれることと思いますので、人間は肌の露出に気をつけて、わんちゃん猫ちゃんは寄生虫の予防は忘れずに行ってくださいね。

(第一診察室には当院で取ったマダニが並べられています。実際はもっと捕獲しています。)